「繊細さん」として広く知られることにもなった「HSP」。
神経が細やかで、
周囲からの刺激を受けやすく、
感受性の強い性質を生まれ持った人を言います。
細かな刺激に敏感に反応してしまうため、
日常生活で非常にストレスを感じやすく、
生きづらさを抱えやすい特徴をもっています。
HSPとは
HSPとは、Highly Sensitive Person
(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略
HSPは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の頭文字をとって
「エイチエスピー」と呼ばれています。
アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です。
人口の15~20%、5~6人に1人はHSPであると言われています。
・HSPの定義ともいわれる4つの特徴「DOES」
エレイン・N・アーロン博士によれば、
次の4つの特徴をすべて持っている人をHSPだとしています。
・深く処理する(Depth of processing)
・過度に刺激を受けやすい(Overstimulation)
・全体的に感情の反応が強く、特に共感力が強い(Empathy and emotional responsiveness)
・ささいな刺激を察知する(Sensitivity to subtleties)
HSPの特徴
それでは、具体的にどのような特徴を持つ人がHSPなのでしょうか。
6つの特徴をあげてみました。
光や音、においなど、まわりから受ける刺激に敏感
・光をまぶしく感じ、ストレスがたまる。
・他人の香水の匂いやタバコの臭いが気になって仕事が手につかない。
・カフェインに敏感に反応する。
・肌にあたる衣服の繊維が気になって着られないこともある。
・家電製品の稼働音に悩まされる。
などといった、
五感による刺激に過剰に反応してしまい、ストレスに感じてしまいます。
物事を深く考える
一つの事に対して疑問がどんどん湧き出てくるなど、
深く考えることが多く、考えすぎる傾向があります。
物事を始める前に熟考するため決断が遅くなりがちで、
なかなか行動に移せないことも。
他人の感情に引きずられやすい
ドラマや小説などの登場人物に感情移入しやすく、他人の痛みを自分ごとのように感じて、
もらい泣きなどしてしまいがちです。
暴力的なシーンを映画やテレビなどで見ることも苦手です。
疲れやすい
外部からの刺激を強く感じ、過度に反応してしまうため、非常に疲れやすいです。
周りに常に気を配っているために、
人と会うとぐったりしてしまうことも多いです。
ネガティブ思考が強い
自分に自信がなく、自己肯定感が低い傾向があります。
不安や恐怖を感じやすく、物事を否定的に捉えがちなところがあります。
カンが鋭い
五感が鋭く、繊細に周りの状況を捉えるため、
物事の小さな違いや、周りの雰囲気などを細かく察知します。
そのため直感に優れ、カンがよく当たります。
HSPは病気ではない
HSPを病気の一つだと不安になる方もいますが、
HSPは病気ではありません。
その人の生まれ持った気質です。
HSPはその特徴から、日常生活において非常に生きづらく、
ストレスをためやすい傾向があります。
それらのストレスから
「うつ病」などの精神疾患を患ってしまうケースも多く、
それらを混同してしまうことがあるようです。
しかし、HSPそのものは生まれ持った気質であり、
治療できるような性質のものではありません。
「治療する」というより
「うまく付き合っていく方法を考え」ていくことになります。
HSCやHSS型HSPって?
HSPとは別に、
「HSC」や「HSS型HSP」といった言葉を
聞いたことがあるかもしれません。
HSPと同じように、その人の「気質」なのですが、
どのような違いがあるのでしょうか。
HSCとは
「HSP」はHighly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)ですが、
「HSC」はHighly Sensitive Child(ハイリー・センシティブ・チャイルド)の略です。
HSPとは厳密には敏感で繊細な大人のみをさしており、
同じような性質を持った子供のことをHSCと呼びます。
HSS型HSPとは
「HSS」とはHigh Sensation Seeking(ハイ・センセーション・シーキング)の略です。
特徴としては、「刺激を求める」ということが挙げられます。
HSPはとても繊細で敏感、不安や恐怖を感じやすいと言った特徴から、
どちらかというと「内向的」な言動が多くなります。
しかし、HSS型HSPは
HSSの「刺激を求める」という性質から、好奇心が強く行動力があります。
さらに、HSPの特徴も併せ持っているために、
繊細で、外部からの刺激を強く受けて疲れやすい
といった特徴を同時にもちます。
「刺激追求型HSP」とも言われています。
外向的で行動力があり刺激を求めるために、
周りからはその繊細さ、敏感さが理解されにくく、
「生きづらさ」を強く感じる傾向があります。
本人でさえ、HSPであることに気づいていないケースも多くあります。
HSPへの向き合い方
HSPは「生きづらさ」を抱えやすい
HSPは多くの人よりも繊細で敏感な気質を持っています。
そのため、まわりの人が気づかないようなことにも気づいてしまいます。
その場の雰囲気や空気を敏感に捉えてしまったり、
相手が機嫌を損ねたりするとすぐに気が付いてしまったり・・
他の人が気づかないようなことに気が付いてしまうことで、
さらには、
自分だけが気が付いてしまうがために
そのことが大きな負担になってしまうことも多くあります。
共感力が高く、他人の感情を感じやすいことから、
他人の感情に引きずられたり、大きく影響を受けてしまいがちです。
また、
音や光などの外からの刺激に敏感なことからも
大きなストレスを感じてしまいます。
HSPとうまくつきあっていこう
HSPは生まれ持った気質であり、病気や障害ではありません。
そのため、治療ではなく、
「自分のそんな気質といかにうまく付き合っていくか」
ということが重要になります。
外部からの刺激が強いと感じる場合には、
イヤホンや耳栓を活用したり、サングラスを使うなどの工夫ができるでしょう。
人間関係が苦痛な場合は、
少し距離を取ることを考えてもいいかもしれません。
HSPは自然にその場の空気を読んでしまいますが、
あえて読まないように心ががけることで、
自分の心を守ることができることもあるでしょう。
自分の持つ特性を知り、うまく付き合っていくことで、
人生を楽に過ごしていきましょう。